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最高裁判所第三小法廷 昭和43年(オ)157号 判決 1968年7月09日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人大崎孝止の上告理由第一点ないし第五点について。

所論の各事実関係は、原判決挙示の証拠関係に照らし、これを首肯することができる。そして、右各事実関係を含む原判決挙示の事実関係のもとにおいて、上告人には、自動車損害賠償保障法三条にもとづき、被上告人林チヨが本件加害車の運行によりその身体を害されて蒙むつた損害を賠償すべき義務があるとした原審の判断は、正当として是認することができる。論旨は、ひつきよう、原審の適法にした証拠の取捨判断および事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。

同第六点について。

第三者が他人のためにその不法行為上の損害賠償義務を免れさせるに足りる費用を支出したことにもとづき、右第三者が、民法七〇二条により、右他人に対して取得する右費用の償還請求権は、不法行為とは別個の法律要件である事務管理を原因として新たに発生する権利であるから、その消滅時効も、不法行為上の損害賠償請求権とは別個に、その権利を行使することのできる時、すなわち、その権利の発生した時から、新たに進行を開始するものと解するのが相当である。論旨は、独自の見解にもとづいて原判決を非難するものにすぎず、採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 飯村義美 裁判官 田中二郎 裁判官 下村三郎 裁判官 松本正雄)

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